臆病者の好奇心

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臆病女、NYの地下鉄に乗る。(NY編その2)

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チェックインして部屋で少しゆっくりしてから早速観光することにした。

 


ホテルの外に出ると、むわっとした湿気の多い空気に包まれる。行った時は夏だったが、日本の真夏に近いくらいの湿気で少し意外だった。冬は毎年大雪が降るくらい寒いので、夏も湿気があまりなく比較的涼しいだろうと高を括っていた。

 

ホテルを出るとすぐ人通りの多い歩道に出る。ペンシルヴァニア駅周辺は雑多とした雰囲気で、5番街やセントラルパーク近くのような上品な空気感はない。人の動きも忙しいし、エリア的にタイムズスクエアが近いのもあるからか、ゴチャゴチャしてる雰囲気であまり落ち着かない。交通の便がかなり良くてその点はいいが、ホテル周辺の道が個人的に好きでは無かった。治安は悪くはないが、良くはないという印象だったので、あまりホテル周辺では落ち着かなかった。次回ニューヨークに行く際はもう少し落ち着いた場所のホテルにしようと思った。個人的にはヒルトンミッドタウンに泊まりたかった.....

 

歩道に出て歩き出そうとしたが、人が多いのと歩くスピードも早いので、最初はオドオドしながら歩いた。田舎者感丸出し。体格がいい人も多く、内心めちゃくちゃビビっていた。日本では中肉中背のわたしでもニューヨークでは小柄だった。自分がひどく頼りないように感じた。

 

 


周囲を見渡してみると、様々な人種の人が歩いている。やっぱりアメリカだなぁと思ってほんの少し歩いていると、アジア人があまりいないことに気がついた。5分に1回すれ違うかくらいだったかな。ちょっと大げさなのかもしれないけれど、その時のわたしにはそう感じられた。正直、もっとアジア人がいると思ってたけど、少なくともホテル周辺の道にはアジア人が全然いなかった。私はそのことにかなり驚いた。ニューヨークであればアジア人がたくさんいるはずだと思い込んでいたからだ。見渡す限りアジア人はわたし一人だけのように感じたことも多々あった。自分がすごく浮いてる感じがした。そしてそれと同時に、アジア人ということで自分が思ってる以上に目立っているのではないのかと感じた。ただでさえ幼く弱々しく見えるのだから、観光客だとバレないように行動しようと思った。

 

さらに私はその時初めて、アジア人はニューヨークでは私が思ってた思っていた以上にマイノリティなんだということに気がついた。アメリカではロスに行ったことはあるが、ロスでは正直あまり気にならなかった。自分の周りに日本人がいたからだと思うが、ロスには割とアジア人が居た気がする。ネットでサクッと調べたデータなのであまり信憑性はないが、ロスがあるカルフォルニア州のアジア人比率は13%ほどなのに対し、ニューヨーク州では7%ほどとのこと。ロスの感覚があったからニューヨークのアジア人の少なさに驚いたが、ニューヨーク州アメリカ全土から見れば上位5位には入るくらいアジア人は多いらしい。しかし、それでもこの旅全体を通しても観光地を除けば、かなりアジア人が少なかった印象だった。日本人は少ないかもしれないけど、他の国のアジア人はそこら中にいると思っていた。もちろん場所もあると思う。チャイナタウンに行けば中国人がたくさんいるだろうし、わたしがいた場所がたまたまアジア人が少ないエリアだったのかもしれない。だけど、わたしの想像以上の少なさだった。私はまた、世界のことを何も知らなかったことを知った。

 


前置きが長くなったが、まずはWorld Trade Centerで観光をすることに。今回の旅は全て地下鉄と徒歩で行くと決めていたので、とりあえずホテルから地下鉄の駅に向かった。日本の地下鉄と比べると全体的に薄暗く汚い印象だった。汚いといっても、ゴミがそこら中に落ちてるというより、壁が汚いというか全体的に相当年季が入ってる。その年季の入り方も日本の地下鉄とはちょっと違う感じ。昔はもっと汚かったんだけど、なんとか清潔さは保てるようにはなった、というくらいかな。落書きの跡が至る所にあったり。調べてみると、80年代くらいまではニューヨークの地下鉄はとても危険だったんだとか。駅も電車も落書きがひどく、犯罪の温床となっていたということだ。90年代に入ってからは治安改善の運動が起こり、治安が良くなったのだそう。わたしが聞いた話だと、街中の落書きを消して綺麗な街になったのも治安が良くなった理由の一つらしい。やはり、人間汚い所にいれば心もくすぶるし、綺麗な所にいれば心もそれに合った状態になるのだろう。環境はとても大事だ。ひとり旅の楽しさの一つは、一人で行動する分、その場の雰囲気や空気感を感じやすくなる。そこから街の様子を窺い知ることもできるし、その街に興味を持って調べるようになる。ニューヨークに来てから、わたしはたくさんニューヨークのことを知れてとても嬉しかった。

 

話が逸れてしまった。わたしは地下鉄でまずは7日間パスを買った。29ドルで7日間乗り放題。ネットの情報を見てる限りだと、3日間以上ニューヨークで地下鉄を使う場合は7日間パスを買った方がお得らしい。パスの買い方は日本できっちり調べてきた。大きな駅だと日本語表記が出来るらしいのだが、私の時は日本語表記は出来なかった。英語に不安がある人は念のため調べておいた方がいい。今時とても便利で少しググれば一つ一つの画面遷移を確認できる。私は全部スクショして見比べながら操作していたのだが、実際の画面と少し違っていて少し焦った記憶がある。マニュアルと少し違うだけで焦るわたしは、つくづくマニュアル人間だなーと思った。マニュアル通りに動くのは得意なのだが、その分マニュアルに書いてないことが起こるとパニックになることもある。融通が利かないタイプだ。自分のそういう部分を少し残念に思う。パスを買う時に一つ不思議なのが、支払いでクレジットカードを使うとなぜかPOST CODEの入力が必要になる。そんな要求があったのはここだけだったし、今まで他の国でも経験がない。POST CODEとは郵便番号の事なのだが10001で問題ない。(これはマンハッタンのミッドタウンのコードらしいのだが、まあ滞在ホテルがマンハッタンであればこのコードでいいと思われる。噂では何を入力してもいいらしいのだが、あくまで自己責任でお願いしたい。)

 


意外に苦労し、2回くらいやり直したりしたが、なんとか購入できた。観光客感を出さないようにしよう!と意気込んでいたが、この時点ですでにアタフタして初心者感丸出しだった。

苦労しつつなんとかパスを購入し、改札を通ってホームに入る。ホームは薄暗く、かなり無機質な印象だった。改札入ってすぐ左手側のベンチにホームレスが2人くらいいてかなりビビり少し構えたが、特段誰に何をするわけでもなさそうだったので少し安心した。だけど、やっぱりめちゃくちゃ怖かった。

 

後日電車に乗ってると、突然ホームレスが乗ってきて大きな声で乗客に向かって演説をし始めた。最初は演説が終わった瞬間、一人一人に金をくれと回るのかと思い、目を合わせないようにした。だが、しばらくしても動き回る様子はなかったのと口調が比較的穏やかだったので、そのまでヤバイ人では無さそうだと思い、目は合わせないままで演説の内容に聞き耳を立てた。そのホームレスは「俺は親を亡くし親族もおらずホームレスになった。」と身の上を話していた。その後は何を言ってるのか分からなかったが、最後に「聞いてくれてありがとう」という言葉で締めていて少し驚いた。正直、「金持ってるなら俺によこせ」という乱暴なスタンスでいくと思い込んでいたからだ。だが、そのホームレスは「もし俺の話を聞いて良いと思ったらお金を恵んでくれ」というスタンスだった。アメリカではホームレスはお金を恵んでもらうことが多いらしい。自分から声をかけて行って小銭はないか?と聞いてお金を集めてご飯を食べるという光景もアメリカでは見られるらしい。そのため、卑屈な態度で他の人に話しかけても相手にしてもらえないだろうから、ある程度社会性を兼ね備えてる人がいそうだなという雰囲気だった。どうやったら相手にお金をあげようと思ってもらえるのか話し方やお礼の仕方だったり、一人一人社会性を備えていそうな印象を私は受けた。先ほどのホームレスにも卑屈さはなく、物腰も少し柔らかかった。ただ一つ注意して頂きたいのは、ホームレスの語るストーリーは毎回変えているようで嘘らしい。くれぐれもお金を渡さないように。お金を渡すとと麻薬や酒に使われてしまうことも多いらしい。

 

ちなみにそのホームレスは演説が終わって次の駅に着くとすぐに降りていった。どんな人でもニューヨークにはニューヨークでの生き方があるのだろうと思った瞬間だった。(この件については完全に私の主観であることをご了承頂きたい)

 

ただ一点補足しておくが、私の時は周囲に人がたくさんいたのもあったので大丈夫だった。状況によるので危険を感じたら次の駅で降りるなどしましょう。私も車両に人が少なければ次の駅で降りていたと思うし、周りのニューヨーカーもみんなガン無視で目を合わせないようにしていた。基本的に知らないふりをするというのが、この街で自分を守る術の一つなのだろう。ニューヨーカーが冷たいという印象を持つのもそのせいなのかもしれない。でも、ニューヨークという大都会で生きていくためには大事な術だと思う。

 

安心してもらいたいのは、地下鉄や公園に警察が頻繁に巡回している。警察がホームレスに話しかけている光景を短い滞在の中で何度も見かけた。ただ、時々駅のホームの階段でホームレスが寝ている時もあるので、その階段を使わなければいけない時などは気をつけた方がいいかも。


なんとかWorld Trade Centerに行く電車に乗れた。事前に日本で調べていたら、ニューヨークの人は他の人と肌が触れ合うのを嫌がると書いてあったので、電車に乗るときも歩くとにもとにかくぶつからないように注意した。基本的にぶつかるというのは不慮の事故だとしてもとても失礼にあたるので、当たらないように気をつけましょう。ぶつかりそうだなと思ったら、Excuse meと声をかけて道を譲ってもらうのがマナー。日本の感覚で少しくらいぶつかっても大丈夫だろうと思ってはいけない。まあ、とはいうものの、東京より遥かにニューヨークの方が歩きやすい。みんなぶつからないように歩いてたし、追い越したい時などはExcuse me.と声を掛ければ道をさっと開けてくれる。東京の方が遥かに歩きにくい。平気でぶつかってくる人もいるしね。

 

ただ、地下鉄はちょっと注意が必要かもしれない。ブレーキがかかって思いがけず他の人にぶつからないようにした方がいい。偶然でもとても失礼にあたる。大きなトラブルに繋がることもあるという。それを事前に見ていたので、地下鉄に乗るときはずっと緊張していた。が、幸い座れることが多かったので大丈夫だった。

 

あとは、ニューヨークというよりアメリカ以外の国の全てに当てはまるが、くれぐれも地下鉄で座って寝てはいけない。電車で堂々と寝れるのは日本くらいなので。寝ると自分の無防備さを露呈してることになり、ふつうにカバンが盗まれる。本当にこれだけは最低限気をつけてほしい。

 

海外で無防備さを曝け出したら負けだと思う。こいつはいけると思われた瞬間に狙われるし、特にパリなどではスリのプロがうようよいる。わたしもパリで一度スリにあいかけたが、本当に気がつかなかった。隙を見せた瞬間にスラれると思った方がいいと思う。

 

やるかやられるかの空気感が海外にはあるから、周囲に自分の無防備さや弱さを出した瞬間負ける。日本ではあまり感じることがないが、日本がやっぱり特殊なのだろう。

 


World Trade Centerのことも書きたかったのですが、長くなってしまうのでここまで。

 


続く....